「今日〇〇ちゃん、お友達に噛まれてしまって…」
お迎えの時間、先生にそう言われて我が子の腕を見るとうっすら歯形が残っていました。
申し訳なさそうに状況を説明してくれる先生の話を聞きながら、わたしの頭の中ではいろんな感情が渦巻いていました。
痛かっただろうな。かわいそうに。
こんなに跡がつくくらい噛まれるなんて…
相手の子にケガをさせていないだろうか?
心配する気持ちや我が子を傷つけられたことへの少しの怒り、相手の子への思い…いろんな感情が渦巻いてなんて言葉にしていいか分からないくらい複雑でした😢
保育士として、噛んでしまう子・噛まれてしまった子、両方をたくさん見てきましたが、我が子が噛まれたときには想像以上の衝撃を受けました。
この記事ではわたしの経験を基に、保育園での噛みつきトラブルについて詳しくお伝えしたいと思います。
この記事がおすすめな人👇🏻
- 子どもが1〜3歳で保育園に通っている
- 保育園で噛まれたと聞いて、複雑な気持ちになっている
- 相手の子や保護者のことが気になっている
- 保育園側がどう対応しているか知りたい
この記事を読めば、子どもが噛んでしまう理由と、噛まれた側の親としての気持ちの整理の仕方、そして保育士としての経験を基にした園側の対応が分かります。
「うちの子だけ?」「相手の子は大丈夫?」「先生はちゃんと対応してくれている?」そんなモヤモヤが少しでも晴れれば嬉しいです☺
そもそも、なぜ子どもは噛んでしまうの?
保育園で友達とのトラブルでよく聞くのが”噛みつき“。
その多くは1歳~2歳頃に発生します。
では何故噛みついてしまうのか…。
理由は子どもの発達特性が大きく関わっています。
”噛む”ことは感情表現のひとつ
噛みつきの多くは1歳~2歳児頃ですが、この時期は自我が芽生え始め自己主張が強くなる一方でまだ言葉で感情を表現することが難しい時期です。
子どもの中で
「○○がしたい」
「○○はイヤ」
こうした思いはあるのにそれをどう表現していいか分からず思わず噛んでしまう、という場合がとても多いです。
保育士として働いていた頃、1歳〜2歳児のクラスでは噛みつきやすい子が毎年1人はいました。
それくらい、1歳〜2歳児は噛みつきが起きやすい年齢です。
ですが今回我が子が噛まれたのは年少クラス、いわゆる3歳児クラスでした。
1歳〜2歳児は特に噛みつきが起きやすいとお伝えしましたが、0歳児でも3歳児でも噛みつきが全くない訳ではありません。
0歳児で多いのは、
- 歯が生え始めでむずむずしていて、たまたま目の前にお友達の手があったから
- 「これなんだろう?」という探索遊びの一環
- 使っていたおもちゃを取られたから反射的に(0歳後半~)
など、自身の感情表現の一環もありますが遊びの延長で噛んでしまうということが非常に多いです。
反対に3歳児で多いのは
- 友達におもちゃを取られた悔しさ
- 一緒に遊びたいのに遊んでくれない悲しみ
- 自分の遊びを邪魔されたイヤな気持ち
など、自身の感情を伝える手段として”噛む”という行為が現れることが多いです。
どの年齢でも、噛みつきの背景には必ず子どもなりの理由があります。
”噛みつき”が増える時期がある
噛みつきは子どもの感情表現の一種であることが多いですが、環境によって一時的に増えることもあります。
例えば年度替わり。
担任の先生が変わったり、お部屋や生活のリズムが変わったりして忙しない日が続きます。
子どもたちも気を張っていてちょっとしたことからトラブルに発展しやすいので、噛みつきが起こりやすいです。
また雨の多い梅雨時期やお部屋遊びの多い時期も噛みつきが増える傾向にあります。
お部屋での活動が続くとどうしても動きが制限されがちで、何となく閉鎖的な環境になりやすいので子どもたちもフラストレーションが溜まります。
発散する機会がないとイライラからお友達とのトラブルに発展しやすく、噛みつきが起きてしまうことがあります。
梅雨どきに子どもが荒れやすい理由と乗り切り方は、こちらの記事で詳しく紹介しています👇
”噛まれた側”の親として、正直に感じたこと
『噛むのは発達の一過程』ということは頭では分かっていました。
でも…我が子が噛まれたと聞いた時、その「理解」を越える親としての感情が揺れ動きました。
我が子の細い腕にくっきりと付いた歯形。
『こんなに跡になるくらい強く噛まれて痛かっただろうな。怖かっただろうな。』
『どうしてこんな状況になったんだろう』
『相手の子は誰・・・?』
噛まれたということを聞いて真っ先に思い浮かんだのは我が子への心配の気持ちと園や相手に対する小さなモヤモヤとした感情。
発達特性の一つで、相手の子も決して我が子を傷つけようとして噛んだわけではないということは分かっているのに、こんなにも感情がぐるぐるとすることに自分でも驚きました。
今回我が子が噛まれたと担任の先生から聞いた状況はこうでした。
相手の子と我が子は、近くでブロック遊びをしていた。
相手の子は自分の周りにブロックを集めて遊んでいたが、その中のひとつに我が子の手がたまたま触れてしまった。
我が子に「取ろう」というつもりはなく、ただ手が当たっただけだったようだが、相手の子はそれを「自分のブロックを取られる」と思い込んでしまい、とっさに噛みついてしまった。
この話を聞いて、『先生が防ぎようがない状況だった』というのはすぐに理解が出来ました。
噛まれてすぐにお互いを離したこと。
噛んでしまった子の対応は別の先生がし、我が子はすぐに患部を流水で洗い流して布を巻いた保冷材で冷やしたこと。
その後、歯形は残っていたが傷がなかったので冷えピタを貼って定期的に様子を確認していたこと。
我が子は噛まれた時こそ泣いたものの、すぐに泣き止みその後は変わった様子はなかったこと。
トラブル発生からお迎えに行くまでの状況を丁寧に説明してくれ、さらに我が子が噛まれてしまったこと、防ぎきれなかったことを謝罪してくださったこともあり、わたしの心のモヤモヤは少しだけ晴れて園を後にすることができました。
保育士として知っている”噛んだ側”への園の対応
噛まれましたと報告を受けるとき、きっと園からはその時の状況やどのように対処したか、子どもの様子はどうであったかの報告があるかと思います。(園や先生によって対応や報告などの仕方は異なる場合があります)
でも、相手の子の保護者へは…?
噛まれた側ではなく”噛んだ側“に対して、園としてどのような対応をされているのか気になりますよね。
ここからはわたしの経験則でのお話になるので、全ての園に共通しているというわけではないことはご了承ください。
”噛んだ側”への報告は基本的にしない
わたしが勤めていた園では、常習でない噛みつきであれば噛んだ側へ基本的には報告していませんでした。
そして相手のお友達の名前(噛んだ子・噛まれた子)もお伝えすることはありませんでした。
正直、わたし自身も保育士をやりながら『噛まれた側の保護者さんは、相手の子が誰か気になるだろうな』と考えていました。
実際にママになった今、噛まれたと聞いたとき相手の子が誰か気になったのが本音です。
この、『相手の子は誰だろう?』と思うことは、親としてごく自然な気持ちだと思います。
我が子が傷ついたのに、相手が誰かも分からないままではモヤモヤが残るのは当たり前ですよね。
でも、その「伝えない」という判断の裏には子どもたちのことを考えた理由があります。
もし名前まで伝えた場合に起きうること
- 噛まれた側の保護者が、相手の子や保護者に対して感情的になってしまう
- 保護者同士のトラブルに発展し、子ども同士の関係にも影響が出る
- 「あの子が噛んだ子」というレッテルが、その子につきまとってしまう
- 噛んだ側の保護者が必要以上に自分を責めてしまう
伝えないことで守られるもの
- 保護者間のトラブルを未然に防げる
- 噛んだ子が「問題のある子」として見られずに済む
- 翌日も子ども同士がフラットに関われる環境が守られる
保育園側があえて伝えないのは、噛まれた側の気持ちを軽く見ているからでも、保育園の保身のためでもありません。
保育園はあくまでも中立の立場として、子どもたちが明日も安心して園で過ごせることを第一に考えているということをご理解いただければと思います。
噛みついたことを伝えるのはどんな時?
先ほど、基本的にはお伝えしないと言いましたが必要に応じて噛んだ側の保護者さんに伝える場合もあります。
ではどんな場合であったら噛みついた側の保護者へ伝えるのか。
それは保育士が未然に防いだ事例も含め、噛みつきが出やすい子がいた場合には、保育園での実情と保育士の関わり方を交えながら個別にお伝えすることがあります。
理由は後ほど詳しく説明しますが、家庭と保育園が同じ方向からアプローチできるようにすることが大きな目的です。
また、3歳頃からの噛みつきは、早い段階で保護者の方にお伝えするようにしていました。
この頃は”気持ちを言葉にできるようになること”が、噛みつきの根本的な解決につながります。
その力を育てるために、保育園とご家庭が足並みを揃えることがとても大切なので、お子さんの成長への関わりを最優先してお伝えしていました。
噛みつきの再発を防ぐには?保育園の取り組みと家庭の関わり方
噛みつきは子ども同士の関わりの中で起きやすいトラブルではありますが、できる限り防ぎたいものです。
我が子が痛い思いをするのも、誰かを傷つけることもしてほしくはないですよね。
子どもの”噛みつき”を防ぐために、保育園とお家とでそれぞれどんなことができるのかまとめました。
噛みつきを防ぐために保育園で取り組んでいること
噛みつきがあった場合、再発を防止するために保育園ではさまざまな対策を取ります。
実際にわたしが現場で行っていた対応をいくつかご紹介します☟
- 噛んでしまった子の近くに保育士が意識的につく
- 噛みそうな状況になったら気持ちを聞き取り、整理して言葉で表現しやすいようにする
- ”静的活動”と”動的活動”をうまく取り入れ、適度にフラストレーションを発散できるようにする
- 死角ができにくいような環境設定をする
などなど、対策は状況に応じていくつもあります。
ですが、どの年齢のクラスでも共通してクラス内での情報共有は毎日行っていたので、未然に防いだものも含め小さなトラブルでも担任間で共有していました。
また、早番遅番でクラス担任以外がいろんな子と接するので、何か共有しておいた方がいい事項は朝の短時間の全体ミーティングの時間に伝えたりもしていました。
完全に防げるわけではないですが、どの先生もトラブルが起きないよう・元気な姿で降園できるよう常に気を張って保育にあたっていることを知っておいてもらえるだけでも保育園への不信感が和らぐのではないかと思います◎
噛みつきを防ぐためにお家でできること
『保育園からうちの子が噛んだと報告を受けたけど、どうしていいかわからない…』
『噛みつきをしないように家でも何かできることはないの?』
こう思うママもたくさんいると思いますが、日常の中で関わり方を少し意識するだけでも噛みつきを防ぐことはできます。
それは言葉や身振りで気持ちを表現できるよう普段から意識することです。
たとえば——
- 嫌なときに『いや』と言えたら、『ちゃんと言葉で伝えられたね』と褒める
- 怒ったときに『ムカッてしたんだね』と、気持ちに名前をつけてあげる
- イヤなことがあったら『やめて』が言えるよう、日常の遊びの中で心がける
こういった小さな積み重ねが、噛みつきの予防につながっていきます。
「気持ちに名前をつける」関わり方は、癇癪対応にも役立ちます。詳しくはこちら👇
この関わり方は、保育士も普段から大切にしているポイントです。
保育園と家庭、両方が同じ方向を向いて関わっていくことが噛みつきの再発防止への一番の近道になります◎
噛まれた後、おうちでしたこと
噛まれた日、先生から聞いたお話しで園でもフォローはしていただいていることは分かっていました。
ですが、お家でもぜひ確認・フォローをしてもらいたいことがあります。
これをすることで、自身の子どもを看る(お世話する)力が伸び、今後の対応や判断に活かすことができるようになると思います!
わたしがお家に帰ってからしたことは2つ。
傷の確認とケア
まず帰宅後、すぐに傷の状態を確認しました。
皮膚が破れていなければ基本的には経過観察でOKですが、皮膚が破れていたり腫れがひどい場合は念のため受診を考えましょう。
ひどい場合は噛まれたその時に保育士が園にいる看護師や園長などに状態を確認してもらっていると思うので受診の必要性があればお知らせがあるとは思います。
ですが、噛みつきに限らずケガをしたときにはお家に帰ってからの様子も定期的に確認をしておいた方がいいと思います◎
『この程度の傷であれば〇日位で良くなりそう』
『受診の必要性はある?』
今後こういった判断をすることはたくさんあると思うので、そういったときの判断材料の一つになると思います。
我が子の場合はくっきりと歯形が残っていましたが、冷やしながら軽く揉み、寝る前に冷えピタを貼っておいたら翌日は随分と薄くなりました。
「痛かったね」を言葉にして受け止めてあげる
傷の確認をしながら、「痛かったね。我慢してえらかったね」と言葉にして伝えました。
子どもによっては何があったか細かくは分かっていないこともありますが、「気にかけてもらえた」という感覚は伝わります。
子どもが安心して生活を送れるのはお家の人からの愛情があってこそ。
大好きなママに受け止めてもらう経験は子どもの情緒の発達にとっても大切なことなので、小さなことでもこうした経験が積めるように心がけています。
また、3歳の我が子は簡単な状況をたどたどしく教えてくれました。
保育園によっては、年少クラスから『お家で園でのお話を聞いてみてくださいね』とノートの記載が減ることがあると思います。(我が子の園でもわたしが勤めていた園でもそうでした)
園での様子を知った状態だとこちらも聞き取りやすいので、噛まれた時に限らずちょっとしたことでも子どもと保育園でのことについて話す時間を持つことはおすすめです◎
よくある質問
Q1. 噛まれた跡はどのくらいで消えますか?
A. 皮膚が破れていない場合は、冷やしてケアすれば1日〜数日ほどで薄くなることがほとんどです。我が子も翌日にはずいぶん薄くなっていました。ただし、皮膚が破れていたり腫れがひどい場合は念のため受診を検討してください。噛まれた直後に保育士が看護師や園長に確認していることもあるので、受診が必要な状態であれば園からお知らせがあるとは思いますが、不安でしたら一度園に相談してみてもいいかもしれません。
Q2. 何度も同じ子に噛まれている気がします。どうしたらいいですか?
A. この”同じお友達に何度も噛まれる”というのは実はよくあることです。年齢を重ねるうちに一緒に遊ぶ友達が何となく決まり始めるため、噛みつきやすい子とよく一緒にいる子は繰り返し噛まれてしまう状況が起きやすいです。ですが、我が子が何度も噛まれるのは不信感が募りますよね。繰り返し同じ状況が続く場合は先生に「最近どんな様子ですか?」と状況を確認してみてください。園での把握状況や対策などを知ることで不信感が和らぐかもしれません。
Q3. 我が子が噛まれて腹が立ちます。保育園にクレームを入れてもいいですか?
A. 気持ちのモヤモヤを伝えること自体は悪いことではありません。しかし、伝え方には少し気を付けていただきたいです。感情的になって文句を言いたくなる気持ちもとてもよく分かりますが、こちらが感情的になってしまうと建設的な話ができにくくなってしまう可能性があります。「どんな状況だったか教えてもらえますか?」「再発防止のために何か対策していますか?」という聞き方だと、先生との関係も保ちながら気持ちを伝えられます。我が子を守るための声を上げることは大事なことだと思います。保護者としての気持ちは毅然とした態度で伝えつつ、園とそれぞれの家庭が情報を共有して対応策を強化していくことが大事です。
Q4. 子どもが噛んでしまったと園から聞きました。どうしたらいいですか?
A. まず、自分を責めすぎないでください。噛みつきは子どもの発達の過程でよく起きることで、家庭のしつけが悪いわけではありません。園でもその場で丁寧に対応しています。おうちではお子さんの気持ちを聞いてあげて、「嫌だったんだね、でも噛むのは痛いからやめようね」と気持ちに寄り添いながら根気よく、繰り返し繰り返し伝えることが大切です。噛みつきに限らず、子どもへの言い聞かせは本当に気が遠くなるくらい根気が必要です。”噛む=痛いからダメ”と繰り返し伝えたうえで、気持ちを整理して言葉で伝える手助けをしてあげましょう。どうしても繰り返し噛んでしまい、どうしたらいいか困った場合は先生と連携しながら一緒に対応策を考えていきましょう。
まとめ|「よくあること」と「親としての感情」は別物
保育園で噛まれたと聞いたとき、咄嗟に感情が乱れますよね。
初めての子育てなら、大きな衝撃を受けると思います。
保育園は噛みつきを防ぐため、日々工夫を行っています。
しかし、園で様々な対策を取ったうえでも噛みつきは起こってしまうことがあるということを頭の隅に入れておくと”噛まれました”と言われた時に冷静に対応できると思います。
今日お伝えしたことをまとめてみました☟
- 1~2歳が噛むのは発達の過程によるものが多い(言葉より先に体が動いてしまう時期)
- 0歳児・3歳児でも噛みつきは起こり得る(噛みつきには子どもなりの背景がある)
- 噛まれた側の親が複雑な気持ちになるのは当然(知識があっても感情は制御しきれない)
- 園が相手の名前を伝えないのには理由がある(保護者トラブルや子どもへのレッテルを防ぐため)
- 帰宅後は傷のケア+「痛かったね」の一言を(状態によっては受診も検討・メンタルフォローも)
我が子が傷ついたことへの気持ちはなかなか割り切れないものですよね。
噛みつきはよくある発達過程の姿ではありますが、起きても良いことではありません。
もやもやを一人で抱え込まずに、気になることがあれば先生に相談してみてくださいね。
この記事が少しでもみなさんの気持ちを楽にしてくれるものとなれば嬉しいです♡




